溶融亜鉛めっきの規格
溶融亜鉛めっきに関する日本工業規格
JIS H 8641 溶融亜鉛めっき
JIS H 0401 溶融亜鉛めっき試験方法
種類
めっきの種類は、付着量により以下の通りとする。
種 類 | 記 号 |
2 種 | HDZ 35 |
HDZ 40 | |
HDZ 45 | |
HDZ 50 | |
HDZ 55 |
品質
付着量
めっきの付着量は、以下の通りとする。
種類 | 記 号 | 付着量(g/㎡) | 適用例(参考) |
2種 | HDZ 35 | 350以上 | 素材厚さ1㎜以上2㎜以下の鋼材・鋼製品、 径12㎜以上のボルト・ナット及び厚さ2.3㎜を超える座金類 |
HDZ 40 | 400以上 | 素材厚さ2㎜を超え3㎜以下の鋼材・鋼製品及び鋳鍛造品類 | |
HDZ 45 | 450以上 | 素材厚さ3㎜を超え5㎜以下の鋼材・鋼製品及び鋳鍛造品類 | |
HDZ 50 | 500以上 | 素材厚さ5㎜を超える鋼材・鋼製品及び鋳鍛造品類 | |
HDZ 55 | 550以上 | 過酷な腐食環境下で使用される鋼材・鋼製品及び鋳鍛造品類 |
備考:HDZ55のめっきを要求するものは、素材の厚さが6mm以上であることが望ましい。
溶融亜鉛めっきの特長・特性
防錆方法のうちで、経済的にも機能的にも、最も効果的である溶融亜鉛めっきには次の4つの優れた特性があります。
1.耐食性に優れています
溶融亜鉛めっきは、純亜鉛層の緻密な保護皮膜と電気科学的な犠牲防食作用によって、大気中、淡水、海水、土壌中及びコンクリートの中の鉄鋼製品をサビから守る働きをします。
日本における使用環境別の亜鉛腐食速度
暴露試験地域 | 腐食速度 (g/㎡/年) | 平 均 (g/㎡/年) | ||
重工業地帯 | 32-35 | 34 | ||
都市地帯 | 12-18 | 15 | ||
海岸地帯 | 11-14 | 13 | ||
田園地帯 | 8-12 | 10 | ||
山間地帯 | 3-8 | 6 | ||
乾燥地帯 | 2-5 | 4 |
亜鉛めっきの 環境別耐用年数
大気中の耐用年数の計算方法
2.メンテナンスフリー
長い年月にわたっ防食効果がありますので、まったくのメンテナンスフリー
です。長期の防食を目的とする場合、塗装方法と比較してもっとも経済的です。
溶融亜鉛めっき加工費と塗装費との比較(例)
溶融亜鉛めっき加工費※1 | 塗 装 費※2 | ||||||
厚5㎜ | 厚7㎜ | 厚12㎜ | 厚20㎜ | 例1 | 例2 | 例3 | |
初期費用(円/㎡) | 1,260 | 1,700 | 2,700 | 3,810 | 3,170 | 4,140 | 6,920 |
塗替費用(円/㎡) | 0 | 0 | 0 | 0 | 1,560 | 2,520 | 0 |
20年間の塗替回数(回) | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 2 | 0 |
20年間の塗替費用(円/㎡) | 0 | 0 | 0 | 0 | 4,680 | 5,040 | 0 |
20年間の合計費用(円/㎡) | 1,260 | 1,700 | 2,700 | 3,810 | 7,850 | 9,180 | 6,920 |
塗装仕様 | (例1) 鉛系さび止め塗装1層 フタル酸樹脂塗装2層(例2) 鉛系さび止め塗装2層 フェノール系MIO塗装1層 塩化ゴム系塗装2層(例3) ジンクリッチプライマー1層 エポキシ樹脂塗装2層 ウレタン樹脂塗装2層 |
※1 溶融亜鉛めっき加工費:現行の標準加工費より精算
※2 塗装費:㈳日本塗装工業会発行の塗料ハンドブック(昭和54年度版)より精算
20年間における溶融亜鉛めっきと塗装の合計費用の比較
亜鉛めっき鋼構造物研究会パンフレットより
3.密着性にすぐれています
溶融亜鉛めっきは、亜鉛が鉄と反応して鉄と亜鉛の合金層を形成し、鉄地と固く結びついています。更に純亜鉛層の被膜を被っているため鉄を腐食から守ります。また、衝撃摩擦等によっても剥離することがありません。
4.すみからすみまで均一にめっきできます
めっき槽に浸漬してめっきを行いますので、構造が複雑なタンクの内面や、パイプなど目に見えない部分、手の届かない部分でも完全に均一にめっきができます。
5.鉄地の保護に優れています